2007年2月、シンガポール出身のドクター、NK ヨン氏は、独創的で寛大さに満ちた方法で80歳の誕生日を祝いました。
NK氏と妻のメリナさんは、自分たちの時間や努力を、ありきたりな誕生パーティーよりも、もっと地域の人々のために使えないかと考えました。
そこで長年にわたるワイン愛好家兼コレクショナーである二人は、ワインの国際オークションを開催して、その収益を
Singapore Children’s Society(シンガポール児童協会)、 Dover Park Hospices(ドーバー・パーク ホスピス)、
Kidney Dialysis Foundation(腎臓透析基金)の3つの慈善団体に寄付することに決めました。 そして、
ワインを通じて知り合ったヨーロッパやオーストラリアにいるすべての友人たちにオークションへの参加を募ったところ、
思ってもみなかった反響がありました。ヨン夫妻の掛け声で、50を超える有名な生産者、ワイナリーオーナー、
経営者たちが続々とシンガポールに集まったのです。 ヨン夫妻と友人たちが募金として集めた金額は、ヨン博士の年齢の10倍に当たる
800000シンガポールドルに達しました。シンガポール生まれのNK ヨン氏は心臓学の権威です。マレーシアで初めての開心手術を手がけた彼は、
現地で50年以上教鞭をとってきました。 彼は、Singapore Medical Association(シンガポール医師会)の会長を務め、
医学会の発展に貢献しました。6年間という記録的な在位期間中には、MASEAN(東南アジア医師会連合)、Commonwealth Medical
Association(イギリス連邦医師会)の会長の座も兼任しています。
開業外科医として52年の充実したキャリアを経て、2004年末についに退職。その後は、趣味として大切にしてきた、
ワインとそのさまざまな神秘性についての研究に毎日をささげます。 1989年6月から、彼は、Confrérie des Chevaliers du
Tastevin en Bourgogne(ブルゴーニュの利き酒騎士団)、Commanderie du Bontemps de Médoc et des Graves
(メドック、グラーブ地区のボンタン騎士団)、Jurade de Saint-Emilion(サンテミリオンのワインの騎士団)、Hospitaliers
de Pomerol(ポムロールワイン騎士修道会員団)など、フランス国内のさまざまなコンフレリーの会員となっているばかりでなく、
Society of Bacchus America(アメリカ バッカス協会)からは、ワインと食のアートに多大な貢献を与えたとして、Achievement
Award が贈られています。 また、フランス政府より、1989年には農事功労章オフィシエ章、
2004年には国家功労章オフィシエ章をそれぞれ叙勲しています。 高品質ワインと幸せな暮らしのアートの評価と普及への貢献により、
2003年に、ヨン夫妻はシンガポールのWorld Gourmet Summit(ワールド・グルメ・サミット)から、Lifetime Achievement Award
を受賞しました。
ヨン夫妻が、ワインとガストロノミーに情熱を傾けているなどと、いまさら改めて言う必要があるでしょうか。
二人にとってグランヴァンとは、人間の努力と自然との調和がもたらす芸術作品です。 好奇心旺盛で常に新しいワインを見つけてくる
NK Yong氏だけに、コレクションも極めて多彩です。 カーヴのアイテムも、依然、大多数がフランス産ワイン、
特にボルドーを中心としたものですが、NK氏は世界中のワインを所有しています。
こうしたワインの中で、パルメは常に、ヨン博士の心を引きつけてきました。 NK氏は、マルゴーに比肩する典型的特長、
極めて個性的な繊細さやフィネスを好んでいます。 彼は、シャトー・パルメでのディナーで供されたパルメ1959年
を今でも憶えています。1961年にまったく引けをとらないワインでした。
教育者の魂は今も衰えず、NK ヨン氏は、若いワイン愛好家に次のようなメッセージを残しています。「心(それにすべての感覚)
を開きなさい。フランスワインがワインのお手本であることには間違いないが、世界のいたるところですばらしいワインが造られています。
地球上には数多くの高品質ワインが存在するのです。 ボルドー、ブルゴーニュ、アルザス、シャンパーニュ、
ローヌといったワインとは確かに異なるでしょう。しかし、こうしたワインには、どれも、個々の土壌に磨かれた独特な個性が備わっているものです。
評価の基本は造り手の誠意と生産方法です」
ヨン夫妻は、ワインにはもうひとつ根本的特徴があるといいます。「ワインのもとに人々が集まってきます。さまざまな人が同じワインを愉しむ。
ワインの前では人はみな平等です。 年とともに、ワインは私たちにたくさんの友人をもたらしてくれました。
この友情を私たちはとても大切にしています。これからも年々、ワインを通じて友人が増え続けることを望んでいます」